世界一愛が詰まった洋服で、若者たちが輝ける場所を

コンゴ民主共和国:長引く混迷と雇用問題

「この国では、トップレベルの大学を出てもちゃんとした職業に就くのが難しいんです」アパレルブランド「Ay」を展開する村上さんに、そう熱弁されました。その国とは、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)のことです。

コンゴは、現代で最も悲惨とされるコンゴ戦争の中心地として、21世紀になっても悲しい戦火に見舞われていました。今なお紛争と政情不安が続いており、さらには度重なる疫病問題も重なり、世界最貧国にその名を連ねています。



しかし、今を必死に生きるコンゴの人々に罪はありません。村上さんがコンゴに足を踏み入れた時、同世代の若者たちからあふれる、もっと輝きたいというパワーに圧倒されたと言います。彼らの熱い想いが、環境のために制限されていいはずがありません。

“Do not give the people fish, but let’s think together how to fish”
(飢えているものに魚を与えず、魚の釣り方を一緒に考えよう)


貧しい国とそこに住む人々を助けるため、ただ一方的に与えるだけの援助で十分なのでしょうか? 一時的にはいいかもしれませんが、それが持続可能であるかといえば疑問が残ります。支援というのは、社会問題の壁を代わりに壊すのではなく、彼ら自身で考え、彼ら自身が現状を打破するための背中を押すものでなくてはならないのです。

村上さんがアフリカを知りたいと思うようになったきっかけは、高校時代のアメリカ留学にあります。そこで村上さんは、同じ留学生である南アフリカ人と出会います。彼は、これまで抱いていたアフリカのイメージとはかけ離れた、ユーモアいっぱいで、周囲をハッピーにする才能にあふれていました。そこから自然と、アフリカについて学びたいと思うようになっていったのです。

 

一つのアパレルブランド「Ay」として、持続可能な支援への挑戦

あくまで「Ay」は、弱い立場にある人を助ける団体ではなく、コンゴの人々のユニークで素敵な伝統を世界に発信する一つのアパレルブランドなのです。そこで村上さんが出会ったのが、コンゴの伝統生地「リプタ」でした。コンゴの人々の独特な感性が織りなす、世界に1つだけの活き活きしたデザインは見る人をとりこにします。村上さん自身がマーケットへと出かけて調達もしており、リプタの市場はまるでおもちゃ箱と宝石箱をひっくり返したような鮮やかさです。

「Ay」はファッションブランドに留まらず、コンゴにおける2つの社会課題に挑戦しています。1つは「雇用」もう1つは「教育」で、それぞれコンゴのチームと協力して運営をしています。

1つ目は「B-wings」、ファッションが大好きでアントレプレナーシップにあふれるコンゴの若者たちで構成され、自分たちの”好き”からコンゴに「雇用」を生み出し、若者たちが輝ける社会を目指しているメンバーです。

そしてもう一つが「APROFED」、シングルマザーやストリートチルドレンに職業訓練をしたり、経済的な理由で小学校へ通えない子どもたちのための学校を運営している NGO です。持続可能な産業の担い手を「教育」という側面からしっかりと支えていくことはとても重要です。
コンゴでは職が少ない中、洋裁が一つの重要な仕事となっています。そこで「Ay」ではそのためのミシンを購入や小学校での洋裁教室開催といった教育活動にも力を入れようとしています。その第一歩として現地でアートワークショップを開催しました(詳細はこちら)



安価・安易にモノが手に入る時代だからこそ、価格やデザインといったこれまでのものさしに加え、商品の背景にあるストーリーへの共感は、私たちの生活に全く新しい彩りを与えてくれます。このような、社会問題の解決につながる商品を積極的に購入していく「エシカル消費」の動きは、これから活発になっていくと期待しています。



「Ay」のプロダクトは、コンゴの人々が一つ一つ愛を込めて手作りしており、リプタのもつデザイン性を活かしながら、彼ら独自の感性が導きだす独創的なアイデアも商品に取り入れています。売り手・買い手が対等、フェアであることを目指した時代から、創り手として対等に向き合い、ともに世界へと発信していくパートナーになる時代が来ている。コンゴと日本、厳しい渡航制限もある歯がゆい思いを抱きつつも、輝く未来を夢見る熱い想いで、心は常につながっているのです。

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