日本の伝統と景観を守り育てる「美しい村」を未来へ

「美しい村」古き良き伝統を誇りに

「イタリアの村で過ごした高校時代に、皆なぜこんなにも自分たちの村を誇りに、 いきいき暮らせているのだろう?」 そう疑問に思ったと「日本で最も美しい村」連合の津曲さんは語ってくれました。 故郷に誇りを持ち心豊かに暮らす、そんな当たり前のことが次第に忘れ去られようとしているかもしれません。

▲ イタリア・トスカーナ地方


そして津曲さんは大人となった後、当時の思いにかられて再びイタリアを訪れ、村人たちに話を聞いて回ったそうです。その中で村人たちの"自分たちの村の伝統と、そこにあるストーリーを大事にし、後世へと伝えていきたい"という想いに気づきました。
その想いが村人たちの愛と誇りと熱意へとつながり、周りの村までも巻き込み、村人と、そしてそれに関わるすべての人の心を豊かにしているに違いない。

きっと日本の村にも、そのポテンシャルがあるのではないか? 自分たちの村の伝統を大切に守り、育て、そして誇りにする。さらには、そんな地域をつなげるコミュニティー活動が、大きなムーブメントになっていくのではないか。

失われていく日本の伝統への危機感

日本の村には世界に誇る素晴らしい景観と文化が存在する一方、地方の過疎化や少子高齢化は深刻で、それを守り続ける環境も厳しいものとなっています。それが強く表れたのが、2005年頃にピークを迎えた市町村合併の波、いわゆる平成の大合併だったかもしれません。

そんな中強い危機感を抱いたのが北海道美瑛町前町長浜田氏と、美瑛と深い関わりのあるカルビー元会長の松尾氏でした。 美瑛町はなだらかな丘一面に広がる畑作地帯「パッチワークの丘」が有名ですが、時代の流れからその美しい景観が失われようとしていました。

▲ 北海道美瑛町の町並み


なんとかしなくてはいけない。浜田前町長は、すでにこの問題に取り組んでいたフランスの「最も美しい村」運動を知り、現地視察にも乗り出しました。一つ一つの力は小さくても、日本中の村がつながっていけば大きな力となるだろう。ヨーロッパに学びつつ、日本独自のルール作りと仲間集めをしなくてはいけない、それが先駆者たちのアドバイスでした。

日本で最も美しい村連合

こうして「日本で最も美しい村」連合は、浜田前町長と松尾氏を中心とし、北海道から九州全国7つの町と村によってスタートしたのです。2019年の今では64の町や村で結束した大きな組織となりました。

「理念共有型の当事者連携組織」 それぞれの地域が日本で最も美しい村を宣言し、地域全体で未来へとつながるまちづくりと地域の活性化を推進していく。こうして、みんなが当事者となり、伝統的な景観と文化を守り育てていくのです。

一人一人では難しい問題にも、みんなで手を取り合っていく。「日本で最も美しい村」連合は、お互い交流し、学び合い、励まし合いながら、自分たちの誇らしい村を未来へと継承するための仲間なのです。

全力でまちづくりに取り組む地域はみんな "最も美しい村" である。そんな願いの言葉に強く共感します。日本の地方は、未来へと残したい様々な魅力であふれています。永遠に失われてしまう前に、私たちにできることを日々考えていきます。

「世界で最も美しい村」とは?

「最も美しい村」連合は、1982年フランスの64の村からスタートしました。

▲ フランス・プロヴァンス地方


フランスは歴史的に数万の自治体コミューンで形成される地方分権型の国家です。先進国における地方の問題は世界共通で、地方の衰退はすなわち伝統や景観の消失につながります。そのため小さなコミューン同士の横のつながりを強化することが求められました。そうして歴史的財産の観光価値を高め、未来につないでいくための協働の場として「最も美しい村」連合が成立したのです。

「世界で最も美しい村」の活動は、フランスからベルギー、イタリア、スペインへと広がりました。そして、2010年からは正式に「日本で最も美しい村」が「世界で最も美しい村」連合へと加わり、EUと日本をつなぐグローバルな活動となったのです。

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